コラム

◆老眼(老視)以後におきやすい目の病気

目の病気のために視力が低下したのにもかかわらず、老眼になった、あるいは老眼(老視)が進んだので見にくくなったのだろうと自分で判断して放置していたために、治療の時期を失うことがときにございますので、老眼(老視)年齢以後に置きやすい目の病気などについて少しお話いたします。

●老人性遠視
遠視や近視、乱視などは3mまたは5m遠方の視力表を見ながら視力や度の測定をします。
老視のときは、30cm〜50cmの読書距離で近距離の視力表を用いて測定をします。
遠視や近視と老視とはまったく別のもので、はかりかたも視力表も異なります。
しかし、老眼鏡の度を決めるときには、遠視や近視の度が基礎になりますので、この遠視や近視の度の違いによって、程度の同じ老視の人でも老眼鏡の度が違ってきます。
同じ人でも近視や遠視の度がかわると、これにつれて老眼鏡の度があわなくなることがあります。
人の目では、45歳を過ぎると少しずつ遠視の側に度が変わってくることが知られており老人性遠視と呼ばれています。
これに伴って50歳以後、人によってはいかにも老視が急に進んだかのように思われることもあるかと考えます。

●眼精疲労
目がつかれて頭も重いという人は、遠視や乱視があるのにメガネを使っていたなかったり、老眼(老視)のはじまりであったり、老眼(老視)がすすんで使用している老眼鏡(リーディンググラス)が合わなくなっていたりすることが多いものです。
このようなときには老眼鏡を使用するとか、老眼鏡の度を変えることが治療法ということになります。

●中心性脈絡網膜炎
40歳代の人に発病することが多く、普通は片目だけが悪くなります。
視野の中央部分だけが見にくくなり、中央に影ができたり、ものが小さく見えたり、まっすぐのものが歪んで見えたりします。
これは眼球の一番奥にある網膜の黄斑部とよばれるところに水がたまってむくみ、炎症がおきたためです。
この病気に対しては光凝固法という治療法が最も有効といわれています。

●糖尿病性網膜症
網膜は発生学的にも脳の一部分と考えてもよく、網膜の構造はとても精巧にできています。
そして、そのような網膜への栄養補給は、よく発達した脳の血管構造に近い血管系によって行われています。
糖尿病が進行してゆきますと、網膜の毛細血管の壁に変化が生じて、血液の流れがスムーズでなくなります。
また、網膜の組織も酸素需要が増えて慢性的な酸素欠乏と也、そのために網膜に毛細血管の閉寒、網膜出血、出血しやすい新生血管などがあらわれます。
血管壁の変化が次第に太い血管にまでおよんでくると、出血が網膜から硝子体」に拡がる様になります。
ことに糖尿病に気づかなかった人やコントロールの悪かった人が突然視力が低下して老眼鏡(リーディンググラス)の度が合わなくなったのかと思っていたら、網膜症のためだったと分かることがあります。
また、糖尿病によって水晶体が混濁して白内障になることもあります。
糖尿病のために、40歳以後急に近視になったり、ときには遠視化することもあり、この変化が短期間の内に同様して、急いで老眼鏡(リーディンググラスを作り直したのにたちまち再び度が合わなくなることは、眼科医に良く知られているようです。

40歳以上になってから短期間のうちに近視が進んできたときには、眼科医に相談してください。

●白内障
目の中の水晶体に混濁がみられる状態を白内障といいます。
50歳以後にみられる老人性白内障が最も多いものですが、若年性白内障や壮年性白内障のように、自然に比較的若い年齢の人にでてくることもあります。
混濁が極薄いうちは自覚症状がありませんが、次第に混濁が強くなってきますと、遠見、近見ともに視力が悪くなってきます。
痛みや充血などはありませんが、メガネの度をあわせても良好な視力が得られなくなります。
また、白内障のために水晶体が光を屈折する力が急に変化して禁止が強くなり、その結果、今までの老眼鏡(リーディンググラス)が突然度が合わなくなってくることもあります。

●緑内障
緑内障は眼球の内圧を眼圧といい、房水が目の中でつくりだされ流れ出ていく過程で、が夏は正常範囲内にコントロールされています。
この眼圧が高いために視神経が障害される状態を緑内障といいます。
緑内障は急に起きることもあり、ゆっくりと進行してくることもありますが、そのために視力が低下して老眼鏡(リーディンググラスをあわせても良い視力が得られなくなったり、視野がせまくなったりします。
気づかないうちに緑内障によって視神経が障害されていることがありますから、完全に矯正すれば良好な視力があることを、ときどきチェックしておくことはとても重要です。